マルチ商法体験記が流行っているようなので

マルチ商法に関する俺の体験談を書く - sunomononanoの日記
http://d.hatena.ne.jp/sunomononano/20090315


はてな界隈でマルチ商法の体験記が流行っているらしい。
あちこち見ても、いつかどこかで聞いた話ばかりで新鮮味が無い。一定年齢以上のおっさんには百も承知な話ばかりなのだ。内容についてもホントにいつか聞いた事のある手口がそのまんまで面白くもなんともない。でも、興味津々で話を読んでいる人達がワリといるようだ。恐らく手口は軽く20年は変わっていないと思われる。言及しようと思っていた「原ヘルス工業」をwikipediaで調べてみると、そこの分家がかなり頑張っているらしい事がうかがい知れた。


ここ最近のマルチ商法に関して、原ヘルス工業が無かったので、自分が体験した話を書いておく。(古すぎるかもしれないんだけど)
まず、原ヘルス工業は、そこいらのマルチとは格が違うように思えた。なんせ、テレビCMを全国ネットで流していたのだ。しかも、出演者は、北大路欣也松方弘樹、梅宮辰夫、山城新伍千葉真一財津一郎西城秀樹の歌も流れていた。どうです、このメンツ。今ですらビッグネームでしょ?平成初期の頃なんかそりゃもう大きな話ですよ。そういう人達が出演して、バンバンCMが流れていたのです。現代のソフトバンク並と言ってもいいくらい。若い人は、お父さんお母さんに聞いてみて下さい。「バ〜ブル、バ〜ブル、バ〜ブルタ〜イム」って歌、みんな知ってますよ。
面白いのが、まさにバブル絶頂期に「バブル、バブル」と連呼していた所。
Youtube探してみたけど綺麗に削除されてる。西城秀樹の歌が流れているバージョンのものが1つ(http://www.youtube.com/watch?v=SVAQvXKtPRw
ニコニコ動画にはいつかみたバージョンの1つがあった(http://www.nicovideo.jp/watch/sm2486547
これらもいつかは削除されるだろう。それらの出演者も結果的には被害者だったから消し去りたいだろうね。とはいえ、「原ヘルス工業」「バブルスター」という名称を思い出す人がいるうちは検索され、どっかに動画が残ってるんだろう。


確か1990年頃の話。その頃、自分は学生だった。なんの集まりだったか忘れたが、友人・知人30〜40人ほどが集まり、宿泊していた。酒を飲み、下らない話で盛り上がり楽しんでいた。ある時、知人の1人が立ち上がり、話を始めた。「いいのかお前ら、こんなにいつまでも酒を飲み、下らない話で盛り上がってていいのか。世間の学生はもっと有意義に時間を過ごしているぞ。別に勉学がどうこうではない。彼女とよろしくやるとか、スポーツで道を究めるとか、将来について真剣に考えるとかそういうのはないのか。俺達、このままではオシマイだぞ、このままでいいのか」という話であった。みんな頷いた。ごもっとも。ごもっとも。お前は間違っていない。確かにそうだ。しかし、その為に俺達は集まって、こうして酒を飲んでいるのではないか。そんなの誰だって解ってんだ。もっと面白い話をしろ!という事になった。今思えば山岳部の飲み会であったような気もする。


その知人は続けて言った。「お前らは自由が欲しいだろう!そうだろう!今はそうではないかもしれないが、いつかは自由を手にするだろう。だが、それまでに健康で生きていられるか?金や女はさておき、健康で過ごしていられるか?学生で若いから健康なんて見向きもしないかもしれないが、ある程度の年齢になれば、健康の為なら死んでもいいという人がいるくらい、健康というのは大事なものだ。どうだ、Fよ、健康について何か考えているか?ジョギング?うむ。走る事はいいことだ。だがしかし、ジョギングすれば疲労が溜まる。その疲労に対して何かケアをしているか?せいぜい筋肉痛になった時になにかする程度だろう。それではいけないのだ。じゃあどうするかというと、これだ。バブルスターだ。」とパンフのようなものを取り出した。


聴衆は大爆笑。いくらすんだよ!セールスマンか!などなどヤジが飛ぶ。その時、みんなはバブルスターなるものが何かを知っていた。自宅でジェットバスを味わえるという機械なのは全員知っていた。テレビCMの成果だろう。「みんなも知っての通り、CMでおなじみのものだ。松方弘樹も愛用だ。健康にはコレ。これで疲れを取る。どうやって疲れが取れるのかはパンフに詳細が書いてある。是非、見て欲しい」との事。
みんなはたんにその知人の話す内容については商売人がセールスしているという感じで聞いていた。だから、「で?いくらすんの?お前はいくら儲かるの?ニヤニヤ」という話を口々にする。
知人は言った。「値段は40万+諸経費、俺はほとんど儲からない。」うそつけ!儲からないのにセールスする訳が無いだろうと当然の疑問が湧く。「俺が健康になったから、みんなにも薦めたいと思っているだけだ」などと言う。自分は少々、知人の事を知っていて、悪人ではないのは知っていたし、そこそこ真面目なのも知っていた。周囲の人間もそう理解しているので、善意から進めているという話に頭から否定するやつは誰もいなかった。
しかし、友人Mが言った。「健康なんてウソだ。お前はタバコを吸っているし、酒だって人一倍飲んでいる。健康なはずがない。泡風呂で健康なんてあるはずがない。」
その友人Mの話をきっかけに様々なボロが出てきた。実はネズミ講マルチ商法という名称は一般的ではなかった)のたぐいであること。4人に売れば資金は回収できる事。借金が残っている事。健康なんてどうでも良い事。本当に友達と言える人間がいないこと。家族と仲良くやっていない事。さんざん吊るし上げられた。(今思えば、なんて人のいいやつなんだ。とてもマルチで稼げる人間ではない)


その後の話はよく覚えていないが、社会人になってから、その知人から「サンフラワー」なるマルチビジネスについて誘われた事があった。またどうせネズミ紛いの話だろうという事と、ほとんど交流が無かった為に会う事は無かった。たった今、原ヘルス工業wikipediaで調べて、サンフラワーなるものが、原ヘルス工業の分家だという事が解ったので、なんともこりゃ・・・


自分が初めて、マルチ商法のようなものに出会った時は、インターネットなど普及しておらず、当然、悪徳商法マニアックスなるものも無かったが、誰もが、明らかにウソの臭いを感じ取り、何か隠している、何か騙しているという事を感じ取った。情報ソースなどなくても、判断できるのだ。あちこちのマルチ商法体験記に、悪マニで調べた、2chで調べたという話が出てくる。とりあえず正解だと思うけど、まずは自分のカンを信じていいと思う。集団で同じカンバンを使うマルチには、インターネットでの検索は効果的に対応が取れると思うのだけれど、単独で詐欺られる場合にはどうしようもないのだ。ネット上に無いものは存在しない訳ではない。ネット上に無いだけだ。
逆にネット上には肯定的な情報しか無いようなものを利用して、相手が検索する事を前提に騙してくる事も十分にありえる。検索スキルが低かったり、情報の整理が苦手な人にはかえってネット検索は危ない気もする。


ああ・・・また昔の話を書いてしまった。