うん、そうなんだ。でもね理由もあるんだよ・・・

「とりあえずビール」という文化はおっさんだけ。
http://anond.hatelabo.jp/20081212131928


>他の人も飲みたいものを頼む。
飲みたいもの、飲みたいよね。全体の空気に逆らえないような雰囲気の中、飲みたいものも飲めないなんて!というイメージを持っているのかもしれないけど、ちょっと違うんだよ。というのも、「つぼ八」が出現する前の時代(自分の頭の中だと1988年以前)というのがあって、その頃の時代の居酒屋ってのは、飲み物の種類なんかとにかく少なかったんだよ。びっくりしないで欲しいんだけど、「ビール、日本酒、焼酎、ウイスキー」これしかないような店がほとんど。梅酒ロックとかなんちゃらサワーなんてモノは無かった。
梅酒がある店ってのは、店のオヤジが自分で漬けた梅酒を出しているような所だけで、頼むと必ず感想を言わされるような非コミュには注文できないような代物だった。これはウマイ!などと言うと、オヤジがニコニコして店の奥から「これ8年ものなんだ、飲むかい?」なんて持ってきてさらに勧められたりするんだよ。そして自動的にウンチク語りもプラスされる。だからして、それなりの感想を言えないと頼めないという素人にはお勧めできない酒だったよ。
そんで、「とりあえずビール」なんだけど、当時の酒の作法としては、まずはビール、そこそこ飲んだら日本酒/焼酎やウイスキーに移行するというのが基本だった。まあそれ以外の酒はまず無いからそうならざるを得ないんだけどね。基本はそうなんだけど、いわゆる酒飲み強者が集まるような飲み会だと、最初から日本酒/焼酎なわけ。「男はポン酒(or焼酎)」(地方によって違う)って事になっていて、酒が飲めないなんて人間は当然として、それ以外の種類の酒を頼むと「やつはなってない」みたいな感じになる訳。
そこで「とりあえず」という言い訳が必要になってくるという訳。本当は日本酒一直線で行きたいところだけど、まあまあとりあえずはーって意味でビールになる。それと、酒飲み集団が飲み屋に行くわけだから、何はともあれとにかくアルコールをクチにしたい。その気持ちはみんな一緒なので、席に付いた瞬間、最速で飲み物を頼む必要がある。その最速を妨げるヤツは、無粋も無粋、男として最低のやつだという事になる。だから誰と無しに「とりあえずビールでいいよね」「うん」という事で最速で注文が出される訳。とりあえずメニューちょうだいとか、「俺、ウーロン茶」とかは万死に値していた。というかウーロン茶なんてそもそも無かったけど。
じゃあ、そういう世の中だったら、席に着いたら、最初に人数分ビールが来ても良かったんじゃね?という考えもあるかもしれないけど、それは違う。全員で作法を守り、意思を統一する事が重要なのであるからだ。


注文できるものが少ないというのと共に、ビールならビールの種類も少なかった。まず基本的にキリンのラガーしか置いてない。それ以外はかろうじて気の利いた店にサッポロ黒ラベルがあるくらい。サントリーとかアサヒとか置いてある店の方が珍しく、その会社と何か関係があるとか、資本関係で断れないとか、よんどころのない事情があるように思えた。
居酒屋で出される食べ物も同様で、どんな店に行ってもメニューは同じようなもんだった。
今、思い浮かんだけど、昔は異様に乾き物が多かった。今、店でスルメ喰ってるやつなんていないよね。
まあとにかく、おっさん達の今までは制限が多すぎな世の中だったので、酒という商品の種類も少なかったし、居酒屋自体も少なかったし、飲み方そのものも自由度は無かった。「最速で注文」って書いたけど、そこまで必死に酒飲むのも、娯楽そのものが少ないというのもあったんだよ。飲んで話す内容も仕事以外の話だと、野球の話がほとんどだったり。


今は良い時代だよ。昔は良かったなんて事は無い。今が一番いいよ。おっさんでもほとんどがそう思ってるよ。もちろん、当時は当時で楽しかったけど、まさかこんな時代になるとは思わなかったよ。なんでもかんでも選び放題。商品でもサービスでもなんでもいろんな種類があってなんでも選べる。一人だけ違った事をしたり、選んでも良い。野球なんて知らなくていいんだ。独身であっても許されるしさ。
昔、ソビエト連邦という国があった。昔のロシアね。その国では、スプーンといえば、1種類しか無かったそうだ。コーヒーカップといえば、それも1種類しかなかった。マトリョーシカだって1つ、バリエーションなんて無かった。車だってそう。まあ実際は完全にそうではないのだろうけど、概ねそうだったらしい。なんか日本も同じだったんね。


いやまあ、なんだ、おっさんってのは話長いね。
こういう話は酒を飲みながら、相手の反応、応答に応じて話を進めたいね。